新学期始まりました。今年は新しい試みで授業内容も変えています。担当するしずおか学も2科目となりました。その話はまた改めてするとして、授業の話を。

今年の財務会計論は決まった教科書を使わず、自分の資料で授業しています。そのせいで、ちょこちょこミスがあったり(受講生の皆さんすいません!)してます。

改めて教えていて気付いたことです。

会計学は、実学と言われながらも抽象度が高い学問なのではないかと感じます。会計を学び続けて20年以上経って、今更気づいた話です。会計学は、経営学やマーケティングなどの他の経営学問と比較すると、原理原則的な話、概念的な話が多いのではないかと思います。直近の講義で説明したものでは、財産法と損益法です。そこから絡ませて現在の企業会計においては、損益法をベースにしながらも、財産法が取り入れられてきている(財産法が優位になりつつあるものの、当期純利益や継続的な記録、費用配分の考え方は放棄されていないので、この意味でまだ損益法ベースではないかと一応は考えています)ことを、新井清光先生の財務会計論をベースにしながら、実質的な財産法(実地調査をベースにして記録するやり方)と損益法(継続記録をベースにして記録するやり方)で当期純利益の求める値がどのように変わるのかを、具体的な仕訳と財務諸表の作成を通じて理解してもらうことを試みました。

学生は、まだ「?」という感じですが、学生とのディスカッションの中では、「財産法は実地調査するが、どの範囲まで行うものなのか?」「スーパーマーケットなど品目が多い業種では、実地調査は現実的ではないのでは?」などの本質をついた意見が出てきました。抽象度が高いからこそ、そこから具体性の強い考え方が出てきたのではないでしょうか。個別の会計基準の解説では出てこなかった発想ではないでしょうか。

学生にとっては抽象度の高い話は理解が難しいですが、その分だけ応用が利くというか、実際の役に立つ(様々な場面で使える)のではないかと思います。とはいえ、抽象度が高い概念であればあるほど、教える側の技量が試されているのも事実です。この点を踏まえて授業準備しっかりとね・・と思った今日この頃です。