歴史から読み解くしずおか学

授業概要

歴史的な観点から静岡の地域について学びます。歴史だけでなく、地質学、人口学、経済史、郷土史、民俗学など多様な視点から学びます。そのため授業も、本学の教員、ふじのくに地球環境史、静岡市、静岡県、地域の企業、民俗学、郷土史を研究されている方々で行うオムニバス講義になります。各オムニバス講義の内容を踏まえた上で、各受講生はレポート作成(必要に応じてディスカッション)を行い、地域の課題解決能力に繋がる基礎的な力(知識・論理的思考能力)を身に着けます。

授業展開

4/10 歴史から静岡を考える意味~過去の誇りと過ちを学び、未来に対する洞察力を磨く~

【地質、環境史から学ぶ静岡】(ふじのくに地球環境史ミュージアムとの連携講義)

4/17 ①日本列島の中の静岡~他の地域とどう違う?4/24 ②地形の成り立ち~静岡はいつから静岡?
5/8  ③気候変動、環境史~静岡の環境の変化を探る~
5/15 ④人と環境変化の相互作用~静岡の事例から~

【東海道と静岡】(一般的な歴史講義、人口学、地域産業史など)

5/22  ⑤歴史を活かした街づくり

「歴史を活かしたまちづくり」と題して、静岡市・歴史文化課の岩田氏にご登壇いただき、身近なところに、歴史資源はあることや、静岡市が計画している歴史文化施設、駿府城の発掘調査の最新状況についても語っていただきました。特に、駿府城の発掘調査の最新状況の話では、駿府城が想定していた以上に防御力の高い城であったこと、単なる隠居のための城ではなく、江戸を防衛するための最後の砦としての機能を果たしていたことがうかがえるものでした。歴史(考古学)にも精通されている岩田氏の話に学生は惹きつけられた様子でした。学生からのコメントでは、『静岡市が今後、積極的に歴史を活かした街づくりをどのようにしようとしているかが、よくわかった。』、 『もっとこうした取り組みをアピールしてほしい』などの声がありました。(静岡県立大学広報)

5/29 ⑥水産業と静岡(講師:川口円子)
6/5  ⑦家康公と鷹狩り(講師:二本松 康宏(静岡文化芸術大学))
6/12 ⑧天竜区水窪町の昔話(講師:二本松 康宏)
6/19 ⑨東海道史(講師:中村羊一郎(静岡産業大学))
6/26 ⑩人口史から読む静岡の歴史(講師:鬼頭宏学長)

【戦中史】

7/3 ⑪戦時中の静岡~奥野 晃士(SPAC俳優)による動読「ミッション・ゲルニカ静岡大空襲脚本集より」


静岡平和資料センターの方による静岡空襲に関する説明、ビデオ上映により予備知識を得たあと、実際に静岡空襲を受けた方の体験談をSPAC(静岡県文化芸術センター)俳優の奥野晃士さんによる動読を聴講。受講生は静岡空襲時の状況をよりリアルに疑似体験できたのではないと思います。体験談のモデルとなった小長谷さんが駆けつけてくださったり、NHKの取材もあり、本日のニュースでも報道していただきました。講習ではなくて講義だとしずおか学としてやる意義など伝えらなった部分は次回の課題として行きたいと思います。(上野)

【郷土史】

7/10 ⑫有度の郷土史「古墳時代の有度」(講師:大川敬夫(三保生涯学習交流館館長))
7/17  ⑬白隠禅師と静岡(講師:勝野秀敏(龍津寺住職))

【講義総括】

7/24 ⑭歴史から何を学べるのか

しずおか学最終レポート

1.他の人のレポートと比較して自分の学びについて気付いたこと

〇静岡という地域のことについて、勉強しているが、地域を超えて世界と繋がる、いわゆる点から面へ個性から全体へ、自分のレポートにそういう点があるということに気が付いた。
〇ある地域のことについて深く学ぶことは楽しいと思った。そこから今のその地域の産業や人々の気質などが分かって面白い。

〇衰退していくところをどのように活性化していくかだけではなくて、衰退していっているその状況を後世に伝えてゆくことでこれからの産業の参考にすればよいという考え方は頷けた。昔話の授業でもあったが、どう活性化するのかではなくどう終わらせるかということが大切だという考えもあるので、これからの日本に必要な考え方だなと思った。

〇自分はこの講義によって自分の地元について比較したりして考えていたが、他の二人の視点はすごく静岡に向いていてなおかつ、深く追求されていたところからしてもう少し静岡のことについて考えなければならないと感じました。

〇私は講義を通して、今回学んだ静岡の歴史や価値についてより多くの人に広めていく必要があると強く感じたが、他の人も同様の考え方を持っていた。人に伝えるためには得た知識を自分なりに考え自分のものにしたいと書いている人がいてとても納得し、ただ聞くだけではなく、そこから考えることが大切なのだと分かった。

〇歴史を学ぶということが、視野や考え方を広げるということを他の人も書いていて、私と同じように今講義から多面的に学ぶことが出来たと実感していると感じた。奥野さんの動読については異なる見解で、そのような見方もあるのかと認識した。

〇歴史は価値あるものだということを知ったと同時に郷土が破壊されているのも事実なので保護すべきだと思った。

〇私たち一人一人が歴史を引き継いで、共有していくことが大切だというのがグループ内で共通した意見だった。私の意見はそこまでだったが、さらにその知識を踏まえて行動することが重要だと書いた人がいた。その通りだなと思った。授業を通じて各々の地元への意識の高まりを感じ、とても面白かった。

〇同じ講義を聞いても、各人の受け取り方で微妙に感覚が違うところが面白い。知っているようでしらない「しずおか」がたくさんあるのに気づかされた。理系と文系が混じった講義であったが全く異なった領域の学問ではないことが分かった。

2.この講義中でもっと取り上げて欲しかった、もっと知りたかった内容を教えてください

〇東海地震について知りたいと思う。東海地震は一定の周期で発生していると思うので、いつ、どのような被害をもたらしたのか、また、それに行政や民間はどのような対応をしたかといった歴史について学んでみたい。
〇静岡の空襲についてもっと掘り下げて学習する機会が欲しいと思いました。
〇静岡市以外の空襲について知りたかった。
〇講義を受けている中でどの部分が静岡と関係しているのか分からなくなってしまうことが何回かあった。それぞれの講義ごとでより明確に静岡とのつながりについて示してくれると分かりやすかった。
〇「しずおかの産業」は、焼津の桜エビや東海道など県内の様々な魅力について学ぶことが出来たが、これ以外にもたくさんの魅力があると思うので、それらについてもっと詳しく学びたかった。
〇静岡のお茶産業の歴史について学んでみたい。
〇現地に行って講義を聞く、という機会があればより多くのことを吸収し、記憶に残るものになったのではないかと思った。
〇静岡県として広く見た歴史的な価値のあるもの、その地域の特徴的なものについて話を聞いてみたい。他県と比較しての静岡県の特徴を知りたい。